光景を思い浮かべてみましょう。 通りで突然にぎやかにはじまる踊り。 羽根やビーズが頭からつま先までちりばめられた衣装。 入念にペインティングが施された顔や仮面。 思わず踊り出さずにはいられないリズムで通りを埋めつくすマーチングバンド。 そして、群集の手のひらに次々に舞い込む小さな宝物。 これほど多くの人々に、これほどの創造性と興奮を同時にもたらすのは、地球上で最大のフリーイベントと呼ばれるマルディグラだけでしょう。
ヨーロッパ人が祝っていたカーニバルが海をわたったのはずいぶんあとのことですが、すでに18世紀にはニューオーリンズはこの伝統を取り入れ、以来典型的な方法で、このお祭りを独自の色に染めていきました。
今日のマルディグラの原型は、1872年、ロシアのアレクシス・ロマノフ大公(Grand duke Alexis Romanoff)がカーニバルの期間にニューオーリンズを訪問した際、町が彼のために盛大な見世物を、と熱望してできあがりました。 マルディグラの代名詞であるあの色彩が初めて登場したのも、実はその時でした。紫、緑、金はロマノフ家の色であり、彼に敬意を表してパレードで使用されたのです。
近年では、お祭り騒ぎは十二夜(毎年1月6日)から始まって数週間続き、最終日であるマルディグラ(Mardi Gras)(「太った火曜日(Fat Tuesday)」の意)に最高潮に達し、翌日からはレント(四旬節)が始まります。この期間中、クルーと呼ばれるグループ組織(オルペウス(Orpheus)、ズールー(Zulu)、バッカス(Bacchus)、レックス(Rex)などの名を持つ60以上のグループが存在する)によって、数々のパレードが開催され、華やかな「宝物」が街中にばらまかれます。
マルディグラの祝い方は人それぞれですが、カラフルでエネルギッシュなこのお祭りの本質は、純粋な楽しみというただひとつの目的にむかって地域が一つにまとまる、社会的な儀式なのです。